幻で終わった菌糸ビン




えちごやは数年前にオリジナルの菌糸ビン(フィデル)を販売いたしました。製品の出来上がりについて少しの不満でもあればライン全て製造し直すという方針がお客様とキノコ屋さんに御迷惑を与え販売終了になった菌糸ビンでした。
(フィデルをお買いあげ下さいました皆様、フィデルを製造してくださいましたキノコ屋の皆様、大変遅くなりましたがこの場を借りてお詫び申し上げます)

実はフィデルの他に2つの菌糸ビンの販売を考えていました。
フィデルは大きさの追求よりも綺麗な形の作出を優先した菌糸ビンでしたが、第2弾の菌糸ビンは大きさを追求するビンでした。
フィデルとのレシピ的な違いは、菌糸はヒラタケ(Pleurotus ostreatus) 補助添加剤はフィデルよりも配合量が多く、全く異なる添加剤をバランス良く使用します。販売していないので理由は省略しますが、高添加でも培地寿命・菌糸寿命が永く、羽化不全なく大型化する菌糸ビンでした。(えちごや統計 国産オオクワでは70mmオーバー約87% 75mmオーバー約20% 幼虫の死亡率約0.6%)


第3弾の菌糸ビンはシハイタケ(Daedaleopsis tricolor)の菌糸ビンです。
種菌は愛知県の業者から駒菌を入手し、当時フィデルを製造していたキノコ屋さんにオガ菌として拡大培養を依頼しましたが
雑菌が入って拡大失敗したという事で断念しました (1ビンくらい成功してなかったのでしょうかね?)
私は事前に黒カワラタケで実験的に作成していました。劣化が格段に速い黒カワラタケで理想的な菌糸ビンが完成すれば他の菌糸は怖くないかな・・・と単純に思っていたのです(劣化や衰退が速いキノコは、数年は実験しないと販売可能な品質なのかわかりませんからじっくり腰をすえる気持ちで考えていました)
作成後の観察では完成後2ヶ月頃からカビが急速に生え始めたり、皮膜を残して菌糸が衰退したりと困難を極めました。菌糸の成分からヒントを得て、オガ粉・補助添加剤・含水率など様々なバージョンを試作して手ごたえと持論を掴みました (私の実験ではブナの生オガ粉はNGでした)。理想的な含水率、補助添加剤も独特の配合量と種類を加えれば幼虫飼育に耐えられる長寿命のカワラタケ菌糸ビンが出来る事を知りました。(常温6〜8ヶ月間保管成功)
その経験をシハイタケで試す事が出来なかったので残念ですが、魅力的な菌糸を思いついたのでシハイタケは過去の産物として実験的な作成を行う事を止めました。


現在注目しているのは、ツリガネタケ (Fomes fomentarius)です。
識者ならご存知だと思いますがブナ帯に生息するオオクワガタが好むキノコです。オガは当然ブナの生オガですね。種菌の入手が難しそうなので拡大培養用に山からキノコを取って来ないといけないようです。私はキノコから拡大培養をした経験が無いのでキノコ屋さんに依頼しようか悩んでいます (販売目的ではありません)
生オガ粉が手に入るのなら、ミズナラを培地に使ったカワラタケ菌糸ビンも作ってみたいです。





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