放虫について考える




ここ数年の新潟県の採集地の事情は大変な事になっているようです。
入広瀬の放虫疑惑に続いて、新潟県内の所々で様々なカブトやクワガタが放虫されているようです。

有名な話ですが、2000年か2001年に県内の某市でヘラクレスオオカブトが採集されています。
別の市や村では、南西諸島らしきヒラタクワガタ個体が多数採集されているようです。
私が住む、三条市や隣の下田村でも越冬可能な南西諸島らしきヒラタクワガタが採集されています。

薄かった場所で突然、異常な数のオオクワガタが採れ始めた場所もあります

まだまだ放虫らしき事例はありますが、今の所はお話出来ません。
こんな事を書くと何かしらのトラブルがあるかも知れませんが、隠していても仕方が無い事だと思っています。


放虫は悪い事なのか? 良い事なのか?

放虫するにも色々な事情があっての事と思いますが、昆虫屋さんや昆虫愛好家さんからすればとんでもない事です。私もクワガタが好きで採集や飼育していますので放虫は賛成できません。しかし、クワガタにそれほど拘っていない一般の人はどのように感じるでしょう? 放虫に対する意見はクワガタ愛好家の方々は述べていますが、一般の方々は意見は聞いた事がありません。逆の立場 (一般の方) を想定して考えて見ます。
元々生息していない場所へ逃がすのは一般の方でも意見が分かれると思いますが、元々生息している土地なら何も問題ない事に感じるでしょう。
例えば、私が偶然に県外でギフチョウを採集して地元に持ち帰ったとします。
私は飼い切れないから殺すという手段をとるよりも、ギフチョウが生息している近くの山に逃がすとう行動をとると思います。当然、蝶屋さんや蝶の愛好家さんは私の行動に反対するでしょう。しかし、私のように蝶に興味の無い人は、元々生息している場所だから県外のギフチョウや飼育されたギフチョウを逃がす事は問題に思わないでしょう。
もしも、自分の目的以外のクワガタを地元に持ち帰ったとしたらどうしますか?
死ぬまで飼育しますか? 人に全て差し上げますか? 殺しますか? 近くの雑木林に放しますか?

放虫を正当化するつもりはありませんが、私なりの結論は昆虫の生態に興味があるか無いかの違いであって、どちらの言い分も正しいと感じました。


国内亜種や海外の昆虫の放虫について考える

外来生物を自然界に放つ事により、在来種の生息環境を奪ってしまったり、雑交により日本に生息する昆虫の生態系を壊すのは間違いありません。
昆虫屋さんや昆虫愛好家さんだけではなく学者さんや森林組合の方や果樹園の方なども反対する事でしょう。
昆虫に興味の無い一般の人も反対すると思います。
残念な事に、現在では外来生物が日本に住み着き安定して繁殖している生き物も多いです。
日本に住み着いた外来生物が日本の子供や大人にとって娯楽の一部になっているケースもあります (アメリカザリガニ・ブラックバス・ブルーギル・・北海道のカブトムシ)

海外のカブトムシ・クワガタも故意に日本に持ち込まれた生き物です。
自然に日本に侵入した生き物ではありません。
飛行機や貨物船などによって半日間から数ヶ月で日本に運び込まれた生き物です。
このような短期間で日本へ海外の生き物が自然に侵入することはありません。

数万年・数千年かけて育て上げた日本の自然に、輸入された海外の生き物を逃がす事は、日本の森や生き物の生態系を狂わせる二度と取り返しの付かない
破壊行為であると思いっています。
国内亜種や海外の生き物は、本来であれば日本本土には存在してはいけない生き物として自覚し、自然化で繁殖される事が無いように人間の監視下の中だけで隔離飼育して頂きたいと願います。


今のクワガタ事情は、余品で販売しても売り手が見つからず、値段を下げても売れない時代です。
今の現状 (生体の値段よりも飼育費がかかる)を知っている一般の人は、無料でもオオクワガタは欲しくないときっぱり言う時代です。上手に飼育すればクワガタは1ペアで数十頭の子孫を残します。その子孫を他の人が欲しがるとは限りません。全ての子孫を手元に置く結果になる事を考えて購入・飼育していただきたいと思います。

放虫する人の中には飼育を辞めるという理由で放虫行為を行っている人もいるかもしれません。

余談ですが、私は事情により2001年から2004年の初夏までクワガタから離れていました。辞めると決めた2001年は約700頭のクワガタを飼育していました。私は必死で里親を探し、数百頭のクワガタを譲りました。残されたクワガタは全て我が家で繁殖せず飼育していました。2004年の今でも2001年から生きているクワガタが数頭居ます。
今思えば、2年間に渡って飼育する意志の無い数百頭のクワガタにエサをやり続けるのは時間的にも経済的にも精神的にも大変でした。
意味の無い飼育に絶える事が出来きたのは、「クワガタ飼育は引き際こそ肝心」という思いがあったからだと思っています。
私は、クワガタの命が果てるまで飼育し後継の飼育者に譲ったりして、やっと”飼育を辞めた”と言えると思っています。

クワガタを愛する私からのお願いですが、
いかなる事情があるにせよ、放虫せずに最後まで飼育して欲しいと思います。


クワガタ屋さんが多く、オオクワガタや外産オオクワガタの飼育がメジャーな土地ほど放虫が多いと聞きます。
私は、放虫の問題は飼育者だけの責任とは捉えておりません。販売する立場の人も売りっぱなしでは無く、放虫についての危険性を訴えていかなければ、放虫をする人が今後も増えていくのではないかと思っています。


いずれ、外産の昆虫の輸入に規制がかかるでしょう。
外産の昆虫販売・飼育にも規制や罰則がかかるかもしれません。
放虫行為もブラック・バスのように罰則がかかるようになるかもしれません。
国産オオクワガタの保護の為に採集の規制や罰則がかかるかもしれません。

野外に放たれたクワガタは完全には回収できませんが、これ以上繁殖の手助けにならないように考えませんか?






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